車椅子でウユニ塩湖に行ったら天国と地獄が待っていた
こんにちは!Miyoです。
さて、今回はみなさまお待ちかねのウユニ塩湖です。
いつか書かないとと思いつつも、大長編になると思い筆が進まず。。
やはり書くという事には相当の体力と時間がかかりますからね。
そして案の定長編になってしまいました。。。
早速どうぞ!
目次
始まりは何もない風景と頭痛からだった
さて、今回の旅で最も楽しみにしていたスポットといっても過言ではないウユニ。
空港も2012年に新しくできたという事でさぞかし人で賑わっている事でしょう。
空港到着。ボーディングブリッジはなし、職員に抱えて降ろしてもらいました。
空港の外観。ん、なんだこれ?町の公民館ですか?
空港から出た風景。
想像以上に世紀末。
どこかにバリアフリーを感じさせるものはないのかー!!
と探していたら、、ありましたよ。
空港からタクシー乗り場までのスロープ。
これがウユニで見た最初で最後の車椅子マーク。
ちなみにこの新しい空港には車椅子トイレすらない。
もう衝撃の連続だった。
そして、標高3700mのこの場所に降り立った瞬間にハッキリと頭痛を感じたが、気づかないふりをした。
何故ならこの場所には知り合いはいない、誰も助けてくれる人はいない。
完全に孤独な環境、自分だけ。
気持ちだけは強く持たないと、と決めていた。
観光地とは思えぬほど、何もない町
タクシーで10分ほどで町の中心へ。
まずはホテルにチェックイン。
バリアフリーのホテルは検索しても無かったので、ウユニの前に滞在していたラパスで知り合った方から上記のホテルを紹介してもらいました。
入り口に段差二段、バリアフリールームは無し。
街を観光しようとタクシーを呼ぼうとしたら、なんとタクシーは空港との往復以外無いとのこと。
辺りは暗かったが散歩することにした。
観覧車?のようで観覧車ではないものがある
観光客用に小さなレストランが立ち並ぶ
パスタを食べたが、今までの人生で最も美味しく無かった。
ボリビアの民族衣装や、土産物が売っていた
路上に並ぶUFOキャッチャー。なんとなく哀愁が漂う
ツアー中止!?朝から銃声のような音が街に響き渡る
ツアー当日朝、私は銃声のような音がけたたましく鳴り響く異常事態に慌てて目を覚ました。
フロントに何か起きたのか!??と聞きに行くと、座っていたおじさんはケロッとした顔で一言私に伝えた。
「ストライキだよ。」
音の正体は銃声ではなく、ストライキを知らせる爆竹とのこと。
ストライキが起こるとウユニを囲む全ての道路は封鎖される、すなわち塩湖までのツアー、および空港のアクセスも全て遮断される。
ストライキの原因は詳しく教えてくれなかったが、市民の不満が溜まっているらしい。
確かに観光産業で潤っていると思われたウユニのイメージとこの町の想像以上の貧相さ、そのギャップがそれを納得させるものがあった。
冷静に考えたが予約していたツアーが中止になるのはまずい。
滞在日程も限られているし、このタイミングでストライキなんて・・
とおじさんにこぼしたらまたしてもおじさんはケロッとした顔で
「今日中には終わるよ」
と一言だけ伝えて、自分の仕事を始めた。
ウユニからは可能な限り早く抜け出したかった。
高山病の薬も切れていたし、朝起きるたびに地獄の頭痛と空気の薄さで呼吸をするのも辛かったからだ。
この世の天国、そして地獄の光景を目にした
ツアーは翌日に持ち越され、昼過ぎに出発した。
ガイドから、「ウユニは塩の湖だから普通の靴だと塩で真っ白になってしまう。途中で長靴を買うぞ」と言われサイズを聞かれる。
「31cmなんだけど・・」
ガイドは不思議そうな顔をしていたが、とにかく一番大きなサイズの長靴を買ってくれた。
もちろん私には小さかったが。
ウユニの街からは車で1時間程度、塩湖に到着した。
四国ほどの広大な湖をひたすら走り進む
ウユニ塩湖は湖の全てが鏡張りの美しい光景な訳ではない、
ドライバーとガイドの計3人で喋りながら絶景スポットを探す。
そしてついにたどり着いた。
ウユニ塩湖と車椅子というギャップ
空を飛んでいる錯覚に陥った
日が落ちて空と地面が赤く染まってくる
しばし、美しい景色に心奪われていると急に空が暗黒に包まれた。
すごい光景だった。
雷鳴がすぐそこで鳴り響き、辺りは一瞬にして漆黒に包まれた。
指の先っぽほどの雹がフロントガラスを覆い尽くすほど降り止まず、目の前は何も見えない。
辺りは漆黒、雹でさらに視界は悪い。
ふと私は最悪の事態を想像した。
信号はおろか、目印も視界に入らないこの四国ほどの広さの大湖から私たちは街に帰ることができるのだろうか。
絶景スポットまでは湖の入り口から30分以上かけて来たのを覚えている。
私はドライバーに何度も確認した。
本当に俺たちは帰れるのか?今この車はどこに向かっているんだ?と。
ドライバーは、「大丈夫、大丈夫だよ」
とだけ感情のない返事を繰り返す。
ひたすら車を走らせ、あることに気づいた。
明らかに湖の水かさが増している。
川のように深い場所もあった。
これはこのまま雹や雨が止まなかったらいよいよマズイ展開になるのではなかろうか・・
そう懸念していたその時。
私たちの車の前に、ポッと赤い光が見えた。
それはひとつ、ふたつ。
どんどん数が増えている。
よーく見ると、それは他のツアーの車のブレーキランプだった。
ドライバーはただただ走っていたわけではなく、ちゃんと出口に向かって走っていたのだった。
安心した私はそこで平静を取り戻し、ドライバーやガイドと談笑しながら街まで戻った。
ドライバーが自分の家に寄ってくれて車椅子を洗ってくれた。
「塩がついてると錆びちゃうからね」
彼の温かな心遣いと優しい人柄が、今でも忘れられない。
ツアー開始から正味5、6時間の出来事ではあったが
天国と地獄の両方を味わったかのような凄まじい経験だった。
ドライバーの男の子と
冒険の終わり
まさか車椅子でウユニ塩湖に行けるとは思ってもいなかった。
バリアフリーじゃないし、空気は薄いし、頭は痛くなるし、ストライキは起きるし、ご飯は美味しくないし、、
ほんと壮絶な旅だった。
おそらく今度ここに来るならば一人旅という選択肢はないだろう。
心身ともに疲弊した旅だった。
しかし、だからこそ巡り会えた景色。
本当の美しさとは、ただ眼に映った景色それだけではなく
そこに至るまでに越えてきた困難や出会いのおかげで作られるのかもしれない。
なんとなくお金を払ってツアーに参加して見た景色と、どんな困難を覚悟してでも見たかった景色。
どちらも見ている景色は同じだけど、同じじゃない。
よくわからない説明だが、わかってくれる人だけわかってくれればいいと思う。
最後に伝えたい
ウユニに行く際は余裕を持ったスケジュールで臨みましょう。
色々な条件をクリアしてやっと見られる景色です。
近くない場所です。
車椅子でもいけます。
ただ、楽な旅ではありません。
でも絶対に見て欲しい景色がそこにはあります。
是非生でこの感動を味わって欲しいのです。
安全第一で。
では、また。